脂質はこうして血液中を移動する

コレステロールや中性脂肪などの脂質は油なので水には溶けません。そのため、90%を水分で占める血漿にももちろん溶けません。

にもかかわらず、血液中に脂質が存在できるのは、別の形に変質しているからなのです。

血液中に存在する脂質には、コレステロールや中性脂肪のほかにリン脂質があります。実は、このリン脂質が水と油の中間的な性質をもっており、コレステロールや中性脂肪を包み込んで、これらを水に溶けやすくしてくれているのです。さらに、リン脂質と一緒に水や脂にもなじむ性質の「アポタンパク」と呼ばれる特殊なタンパク質がコレステロールや中性脂肪を包み込むことによって、より水になじみやすい形にしているのです。

このように、コレステロールや中性脂肪はリン脂質とアポタンパクの助けを借りて血液中に溶け込んでいるのです。

そして、このように、リン脂質とアポタンパクで包まれた球状の脂質のかたまりのことを「リポタンパク」と言います。

言い換えれば、そのままでは血液に溶け込めないコレステロールや中性脂肪を、リン脂質とアポタンパクがリポタンパクという形に荷造りすることで、血液中を移動することができるようになっているのです。

また、リポタンパクには脂質を体のどこへ運ぶかという命令が書かれていて、リン脂質とアポタンパクで梱包されたリポタンパクというコンテナが血流に乗って目的の場所へ運ばれているのです。

コレステロールや中性脂肪をリン脂質とアポタンパクで包み込んだのがリポタンパクですが、リポタンパクには大きく5種類に分けることができます。

①カイロミクロン
リポタンパクの中で最も大きく、ほとんどが中性脂肪です。食物から吸収した脂質を肝臓や組織へ運ぶのが役目です。

②VLDL
超低比重リポタンパクとも呼ばれ、肝臓で合成されます。2番目に大きなリポタンパクです。中性脂肪が半分以上占めています。肝臓で合成された脂質を末梢組織へ運ぶのが役目です。

③IDL
中間比重リポタンパクとも呼ばれ、VLDLが変化したものです。

④LDL
低比重リポタンパクとも呼ばれ、コレステロールが半分近くを占めています。いわゆる悪玉コレステロールの代表です。

⑤HDL
高比重リポタンパクとも呼ばれます。最も小さなリポタンパクですが、比重は最も重くなります。リン脂質が約半分を占め。末梢組織から余分なコレステロールを回収して肝臓に運ぶという役割をしています。例えばゴミ回収車のような役割です。いわゆる善玉コレステロールの代表です。